会社設立時に知らないと損する税金のこと
会社を設立したばかりの時は、いろいろと知らなくて困ることがたくさんあります。
まず、ご自身で会社を設立されて、一番最初につまずくのは、法人の銀行口座の開設でしょう。
「こんなに時間がかかるの?」と驚かれた方も多いでしょう。
実は、会社経営は知らないと損することばかり、でも、正しく教えてくれたり、相談にのってくれる人ってなかなかいないんです。
なので、親身に相談に乗ってくれた人に高額なリースを売られたりなんて、話も。。。。
それに、税務署なども税金で得する方法や逆に損してしまうパターンなど、事前に連絡してくれるわけではないんです!
今回は、設立後3カ月以内に知らないと税金損してるかも!?というテーマを厳選して取り上げてご紹介したいと思います。
目次
青色申告の承認申請書は、知っていますか?
会社の確定申告の方法にも個人事業主などと同じように「白色申告」と「青色申告」の2パターンがあります。
どちらがよいかと聞かれると、それはみんなそろって青色申告を選ぶべきと答えます。
なぜなら、青色申告で確定申告を行う場合には、例えば以下のように、さまざまな特典を受けることができるからです。
・赤字になった時に欠損金として将来に繰り越すことができ、黒字になった時に控除することができる。(ただし9年という期限あり)
・前期が黒字で今期が赤字の場合、前期に納めた税金をなげくことがありますが、前期に納付した法人税の一部を還付してもらうことができます。白色申告の場合は、災害など特別な理由の欠損金しか繰り越せません。
・1つあたり30万円未満の固定資産を買った期に一括で費用とすることができます。白色申告の場合は、10万円未満の固定資産しか一括で費用処理ができません。
このような特典を逃したくない方は、是非期限内に「青色申告の承認申請書」を提出しましょう。
社長の給与は、年1回しか金額変更できないことは、知っていますか?
社長の給与は、基本的に「定期同額給与」になります。
定期同額給与というのは、その年度において毎月の支給額が同時期で同額であるものをいいます。
だから、「今月儲かったから給与増やそう!」、「今月は業績厳しかったから給与減らそう!」などはできない仕組みになっています。それを認めてしまうと、利益を意図的に減らして、税額も減らすことが可能になってしまうからです。
かといって、会社を設立してから、社長が一生同じ給与であるわけではありません。
一般的に毎事業年度の開始日から3カ月を経過する日までであれば、給与改定することが認められます。
これに対して、もし知らずに3カ月を過ぎて金額変更してしまうと、経費に算入できなくなりますので、税金が増えるケースがあります。
社長の給与は、会社設立後3カ月以内に支給スタートしたほうがよいことは知っていますか?
これは、さきほどの定期同額の給与と同じ考え方が元になるのですが、3カ月を過ぎてから改定が認められないのと同じで、3カ月を過ぎてから支給を開始すると、社長の給与が経費として認められなくなり、会社が払わないといけない税金が増えるケースがあります。
なので、設立当初はいろいろとバタバタしてしまいがちなのですが、3カ月以内に支給日や支給額を決めて社長やその他の役員に支給を開始しないと、3カ月以降に結果として支給を開始したとしても経費として認められず、税金面で損することになります。
設備など高額のものを購入された方、減価償却資産の償却方法の届出書や消費税課税事業者選択届出書は知っていますか?
通常は、提出しなくても問題にはならないのですが、税金的に有利・不利を検討してから提出する書類があります。
減価償却資産の償却方法の届出書について・・・
まず設備などの高額な固定資産を購入した場合などは、一般的に税法で決められた期間で減価償却費という形で費用化されていきます。
また、その場合何も届出を出さなければ税法で定められた減価償却方法になります。これを法定償却方法といいます。
しかし、会社の事業計画などによっては、ただ何も考えずに法定償却方法を利用すると税金面でも損をする場合があります。
例えば、法定償却方法が定率法(初年度の減価償却費がもっとも高く、期間を通して毎年減価償却費が減っていくもの)だったとします。
そして、その会社の売上が数年先になって増えていく場合、儲かっている期間に限って減価償却費が減ってしまいます。
そうすると、結果として売上が増えてきた期間に所得が増えてしまい、法人税が高くなる場合があるからです。
ですので、そういったことが当初の事業計画でわかっている場合などは、「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出することが大事になります。
消費税課税事業者選択届出書について
また資本金が1,000万円未満の会社の場合、原則として最初の2年間は消費税の納税義務が免除されます。
しかし、会社設立当初に例えば下記のような現象になる場合も多いと思います。
売上の金額 < 仕入+経費+設備投資
(あくまで輸出売上などがない会社を前提に)
また、ここで消費税の納税が必要になる場合の、会社の消費税計算を簡単に表現しますと(あくまでイメージしやすい式にしています)
売上に対する消費税-(仕入・経費・設備投資の消費税)=消費税の納税額
となります。
この計算式で理解してもらいたいポイントは、受け取っている消費税が払っている消費税より多い場合に消費税の納税が必要になるということです。
だから、この場合に免税事業者になると税金面で得をすることがあります。
しかし、売上よりも仕入や経費そして設備投資などが多い場合には、払っている消費税の方が多くなります。
その場合、消費税の納税義務者であれば、払いすぎている消費税を還付(返してもらう)ことができるのです。
ですので、こういったことが事前に事業計画などで把握できている場合などは、消費税の納税義務を免除しないほうが、税金面で得をする場合があるので、消費税の課税事業者になりたいということで「消費税課税事業者選択届出書」を提出することが大事になります。
最後に
今回のテーマは、設立当初の方が考えるには、少し難解なテーマばかりだったと思います。
また設立当初などは、売上をどう確保するかが最も重要な課題なので、こういったポイントを考える時間があまり取れません。
ですので、こういった検討ポイントなどは顧問税理士のアドバイスをしっかりと理解しながら、利用すると、結果として会社経営が安定していくはずです。